京都に行ってきた。
学生の頃に京大でのイベントに参加するために日帰りで訪れた記憶はあるけど、旅行としては小学校の修学旅行以来かもしれない。
今回は八坂神社、下鴨神社、建仁寺、南禅寺に足を運びました。
その中で、「建仁寺」のオーディオガイドが素晴らしく感動したので紹介します。
ガイドの魅力
私は美術館/博物館、神社仏閣、旅先の観光スポットにオーディオガイドがあればほとんど利用しています。
オーディオガイドがあれば、美術館であれば作品の説明や作者の生い立ち、神社仏閣であればその建造物の歴史などを聞くことが出来る。それを聞くことで、その時の体験を最大化させることができるし、記憶にも深く残る。
正直ただ作品を見るだけだと、その場で体験が消費されるだけで記憶に残りにくい。
もちろん、オーディオガイドである必要はなく、現地のガイドやガイドブックでもよい。
学生時代の卒業旅行でペルーのマチュピチュに行った時、現地のガイドさんから
「ここは、インカ帝国最大の遺跡であり、下から見えないので"天空都市"とも言われている」
と説明されて感動したのを今でも覚えている。
なぜ標高2500m近い高所にこんなにも立派な遺跡を作る必要があったのだろうか。敵から見つからないようにするため?神と認識していた太陽に近づくため?諸説あるがはっきりとした理由は未だに解明されていない。さらには遺跡内に水路が張り巡らされているが、当時の水源が何だったのかも解明されていないなど、たくさんの話を聞いた。
目の前の対象物に対して、背景や知識が加わると、見え方が変わってくる。
五感を通して楽しむことが出来る。
それが面白いのだ。
次世代のオーディオガイド「ON THE TRIP」
建仁寺に訪れた時、このポスターが目に止まった。
この時、「ON THE TRIP」のことは知らなかったので、このような歴史ある神社仏閣がスマホ対応したガイドを提供しているのは珍しいなという印象でした。
ただ、ポスターに書かれている文言を見て、とてもワクワクした。
「禅とはなにか?心のシェルターとしての建仁寺」
ただ単に音声データをスマホで提供しているだけではなく、きちんとコンテンツとして用意されていると感じた。そしてそれは間違っていなかったし、予想以上の内容だった。
建仁寺のオーディオガイドは、「ON THE TRIP」というアプリの一つのコンテンツとして提供されてます。
京都は、 建仁寺のほか、仁和寺と貴船神社にも対応しているようです。
実際に利用して感動したことは主に2つ。
1. スムーズな導線設計
まず、ガイドの存在に建物の入り口で気付ける。
受付や靴箱にポスターがたくさん貼ってあるのだ。
そもそもアプリを知っている人が使いたいがために訪れるケースもあると思うが、今回の私のようにその場で知って利用を始める人もいるだろう。
一番ニーズが発生しているところで認識してもらう。
オフライン→オンラインの導線は大切。
アプリを立ち上げてガイドを開くとこのような感じ。
スタイリッシュでとても洗練されている印象。
建物内の順路に沿って進んでいると、ガイドが利用できる箇所に看板があるのでわかりやすい。
(photo from https://on-the-trip.com/news/49/)
もちろん、アプリ内でも地図にスポットが記載されているので探すことも出来る。
例えば、一昨年のポール・スミス展では、松田翔太さんが音声を担当していたことで話題にもなりましたが、各作品の近くにQRコードがあり、それを読み取ると音声ガイドが確認できる形式でした。これだと人が多いと読み取りにくいんですよね。
特設展だと期間限定なので専用の端末など用意するのもコストになるのは理解していますが、音声データを用意するのであれば、このようなアプリの上で展開してほしいですね。
2. 洗練されたコンテンツ
建仁寺のオーディオガイドの一番最初のコンテンツは
「禅とはなにか?」
です。
建仁寺の説明ではないのです。
これはポスターのコピーにもある文言です。
建仁寺に足を運ぶ人は少なからず「禅」に関心があると思うんですよね。
でも「禅」についてなんとなく知っているけど、自分では説明できない。
そんな状態でこのコピーを見ると、「なんだろう、気になる」って刺さる。
例えば、いきなり
「建仁寺は、今から約800年前の1202年に栄西禅師が開山した」
といったレガシーな音声ガイドにありがちな教科書的説明をされても、
私なら「ふーん、そうなんだ。」ってなっちゃうんですよね。
解説の表現もモダンで読みやすい。
スティーブ・ジョブスの名前が出てきたり、栄西禅師を「エリート僧侶」と表現したり。
ガイドの中に画像もあるのでスムーズに、初心者でも理解しやすい内容。
さらに、隣にいるかのような間も心地よい。
例えば、境内にある立派な枯山水庭園の解説。
目の前にある砂を「大海原や雲海」に、岩を「山や島」だと思って見てみると、目の前の庭が雄大な景色に見えてこないだろうか。
私たちもその場に座り、しばし庭を眺めてみよう。眼の前のものを何に見立てるかはあなたの自由だ。オーディオを止めて、すこし静寂を楽しんで欲しい。
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あなたには庭がどのように見えただろうか?
もし家族や友人、恋人とここに来ているなら、何をどう見立てたのかを話してみてもいいかもしれない。
まるで、隣でガイドをしてくれていると感じてしまうような間。
その場その場でどのような体験を提供すればよいのかを突き詰めているのが感じられました。
美しい中庭を眺めながらガイドに聴き入る。
建仁寺は instagramアカウントも運用してるんですよね。
素敵な写真ばかりなので、季節の移り変わりなども楽しめる。
「ON THE TRIP」では東京にも、浅草を中心にいくつかガイドがあるので使ってみたい。
観光地のガイド以外にも、日本カルチャーのガイドもあるので面白いです。
ルーブル美術館のニンテンドーDS
ガイドに関連して、余談ですが、パリのルーブル美術館に行った時に、
専用ガイドがニンテンドーDSだったのは感動しました。
ビーコンを利用しているので、部屋に入ると画面が部屋内MAPに自動で切り替わるんですよね。「ON THE TRIP」と同じように、導線設計が洗練されていました。
歴史的な建物内に500個以上のアンテナを設置しているので、すごいんですよ。しかも観客に見えないようにする必要があるものの、釘とか使えないなど制約がたくさんあるので、扉の後ろとかあらゆる手を使って設置している。
このあたり、解説秘話が任天堂公式で公開されているのですが、なかなかおもしろいです。
社長が訊く『ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館』|ニンテンドー3DS|任天堂
端末がDSなので、コンテンツは日本でもダウンロードできちゃうんですよね。
これを現地に持ち込んでもOKだそう。
ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館 [オンラインコード]
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