今年の夏も本当に暑かった。
3歳と1歳の子どもがいる自分にとって、家族でお出かけを計画しても外遊びはほとんど難しくて諦めざる得ない日々が続いていた。
不安と苛立ち、そして自分が子ども達にどんな未来を残せるのか――リアルな問題として温暖化を日々考えざるを得なかった。
毎日天気予報を見ても「危険な暑さ」という言葉しか聞こえてこない。公園で遊ばせるどころか、ちょっとした買い物のために子ども達を外に連れ出すことすらためらう夏の間は、今までにないほど切実だった。子ども達はまだ幼くて、これが「異常」なのか「普通」なのか分かっていない。家の中から外を眺めるたびに「この暑さはこれから先、もっとひどくなるのでは」と不安と苛立ちが募る。便利で快適な社会が生んでしまった「ツケ」を、子どもたちが一生背負うことになるのだと痛感した。どんな世界を息子たちに受け渡すのかを考えない日はない。
実際、夜寝る前にふと「あと20年、30年後もこんな酷暑が続くのだろうか。不安定な気候のせいで、子ども達が大人になる頃には今よりもっと過酷な環境になっているのでは?」と胸がざわつく。自分ができる対策はあまりにも小さくて、家族の健康を守るだけになりがちだ。けれど、ニュースは連日各地の災害や温暖化の警鐘ばかり。親として、今あるものを守るだけで良いのか。このまま「普通に」過ごしていて本当にいいのか。何か責任を果たせているのだろうか。
自分自身、便利さと効率を重視して生きてきたIT企業の人間だ。だけど、便利な暮らしの裏で積み重なっている環境負荷や未来への影響を痛感する今こそ、避けて通れない。子ども達に健やかな未来を手渡したい気持ちと、今この環境の中で出来ることには限界がある現実。その狭間で、日々自問自答する。大人として、親として、その不安と苛立ちを正直に受け止めながら、それでも小さな希望を探し続けている。
そんな自分が「utopia」を読んだ時、直感的に「これは正しく今の自分の気持ちを描いている」と感じた。作品は地球温暖化をテーマに、過酷な環境にも子ども達が笑顔を見せる場面があった。「環境問題に本気で向き合いながらも、子供たちの未来に小さな肯定や希望を残してくれる」――ネガティブで終わらないSFだったのがすごく嬉しかった。
率直に言うと、自分の気持ちは作中のネガティブ感想とかなり近い。気候変動や生物多様性の喪失、うしろめたさや焦燥は日々感じている。大人達が「出生はめでたい」とだけ言い続ける現実への違和感もある。未来に恐怖する自分のような思考は失敗とも言えるし、素直に子どもの誕生を祝福できる人こそ本来は“希望”だとも思う。「自分が素直になれないのは仕方ないけど、それでも希望になれる子ども達の存在に心から感謝したい」という作者のまっすぐな言葉が心に響いた。
だからこそ、この作品のポジティブな部分――荒廃した未来の中にも子供達が笑い、わずかでも前向きな姿が描かれていたことにとても救われた。自分には重すぎる現実に飲み込まれないバランス感覚や、ジュブナイルとして微細な希望を描き出す力は描けなかった。ネガティブな現実を受け止めつつ、それでも肯定できる未来を見せてくれた漫画に、ただただ「ありがとう」と言いたい。
親世代の自分の心にも、ものすごくリアルに刺さる作品だった。ネガティブもポジティブも真正面から描いてくれた「utopia」、ぜひ多くの親にも読んでもらいたい。子どもがまだ小さい今だからこそ、受け止めたいし、未来の希望になってほしいと願う気持ちが膨らむ漫画だった。


