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「プロジェクト・ナレッジ・マネジメント 知識共有の実践手法」

ナレッジマネジメントに関するプロジェクトの立ち上げに関わることになったので、ナレッジマネジメントとは何なのか、をインプット中。
今回は「プロジェクト・ナレッジ・マネジメント 知識共有の実践手法」を読んだのでまとめてみた。

第1章 ナレッジマネジメントの原理

「知識」とは

  • 知識には、データや情報にはない何かがある。それは経験であり、問題発見解決手法である。
  • 行動を導く知識がノウハウである。経験、理論、問題発見解決手法によって、何をするか、いかにするか、がわかるもの。

「ナレッジマネジメント」とは

  • 知識が、意思決定と正しい行動の選択を可能にするものだとしたら、『「個人の心に埋もれている本質的な人間的資産」を認識し、それを企業で意思決定をおこなう多くの個人が使えるような企業資産に変えるためにレバレッジ(テコ入れ)をすること』 だとマッキンゼーのラリー・プルサックは定義している。
    • 個人資産としての知識から共有資産としての知識へという視点のシフトが、ナレッジマネジメントの中核であると示唆している。
  • 「ナレッジマネジメントとは、基本的には、組織内部の個人やチームが、組織のどこかにある適切かつ実行可能な助言、知識、経験へのアクセスを最適化するためのシステマティックなアプローチである」 Gorelick, et al.(2004)
    • プルサックと定義が似ているが、知識を提供する人というより、知識を使う人の視点で知識を見ている点が異なっている。
    • また、知識が、適切かつ実行可能で、知識を使う人にとって価値がなければならないことを強調している。

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ナレッジマネジメントへの否定的意見

  • 知識の本質は無形で暗黙的であり、その所有者から分離することが難しく、その龍柱を測定することも困難であると指摘する声もある
    • しかし、現代のビジネスは、無形資産のマネジメントにますます慣れてきている。リスクマネジメント、カスタマーリレーション、ブランドマネジメントは、すべて認められたマネジメント・アプローチである。
    • 知識は、リスク・ブランドなどと比較しても、特に無形で測りにくいというわけではない。
    • ブランドの価値はとてつもなく大きいので、マネージされなければならない。企業の持つ知識の価値も大きいのであればマネージする必要があるの。

ビジネスにとってのナレッジマネジメントの必要性

なぜやるか、がビジネス観点で明確でなければやる必然性がない。大きく2つの理由
1. 学習曲線の低下
2. ベンチマークまでの引き下げ

ナレッジマネジメントは、一貫した業績指標、業績文化、業績測定、報告制度、社内ベンチマークなどと併用すると容易である。
増えた知識の効果が明確になり、知識の提供者と利用者を特定することもできる。

学習曲線
  • 長時間やればやるほど、回数が多ければ多いほど、より良い成果が得られる。曲線の最後の時に持っていて、最初の時になかったものが知識である
    • 図1-9 (a) : プロジェクトを繰り返すことで、コストが低下し、パフォーマンスが向上する
    • 図1-9 (b) : 「事中学習」に力を入れることで、プロジェクト期間中に知識を獲得し、次のプロジェクトへ移転すれば、効果が得られる
    • 図1-9 (c) : 「事前学習」を用いて、過去のプロジェクトの知見を取り込むことで、スタート時のコストを低下させることが可能である

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ベンチマーキング
  • ユニット内のチームを比較し、高業績チームをベンチマークした時、高業績チームの知見を低業績チームに展開することで、低業績チームの成果をベンチマークラインに近づけることが可能になる
  • 高業績チームもナレッジから学ぶことがあり、自身の改善につなげることが可能である

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知識タイプの分類

  • すべての知識が同じ様に価値があるわけではない。プロジェクトによってどの知識が必要になるのか特定する必要がある。
  • アンチパターン
    • 知識のほどんどが明示的な形で管理でき、分類・保管・検索できるならば、知識は共有できると思っているパターン
      • 文章の多くは、知識よりはるかに多くのデータや情報を含んでいて、知識を特定し、捕捉するプロセスがなければ、知識は文書の形になされることはない。
      • そもそも知識のほとんどは文章として存在すらしていないことも多い。プロセスとして知識の捕捉や分類がなければ、意味のない文章の海に溺れるだけである。

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第3章 プロジェクト内の知識流通

  • たとえ最高のチームであっても、全ての知識や経験にアクセスできるわけではない。プロジェクトの各段階で取るべき最初の手段の1つは、チームの有用な知識へのアクセスを最大化することだ
    • そうすることによって、学習曲線のずっと下の方から始めることが出来る (第1章参照)
    • リーダーは事前学習を、無知や弱さの兆候ではなく、積極的な行動と見るような文化を育てることだ。(= 心理的安全性の確立)
    • 時にチームは支援や助言を求めることをためらうが、それは自分たちが何をやっているかわかってないように思われたくない場合である。

第4章 プロジェクト間の知識流通

  • 答えるべき問 あなたの組織では答えられるか?
    • 誰がプロジェクト間の知識の交換システムを所有し管理するのか
    • 誰がある知識を他の知識と比べてより有効かどうかを言う権威を持っているのか
    • この知識はどこに保管されるのか
    • 古くて無効になった時代遅れの知識を排除するためにどのようなプロセスが必要か
    • 書き下せず形式化できない知識をどう扱うのか
    • この知識を将来のプロジェクトにどうやって使ってもらうのか
    • 新しい知識に照らして会社の標準やルールを更新するプロセスがあるのか